5. 従業員満足度調査の戦略的活用法

5. 従業員満足度調査の戦略的活用法

5-1. 従業員満足度調査のフィードバックの必要性
5-2. 全従業員に対するフィードバック
5-3. 上層部への報告
5-4. 部門長(マネジャー等)へのフィードバック

 

5-1. 従業員満足度調査のフィードバックの必要性

従業員満足度調査は実施、分析するだけで終わってはいけません。実際の改善施策につながってはじめて意味のあるものとなります。従業員満足度調査をやりっぱなしのまま結果をフィードバックしなかったり、その結果を施策につなげなかったり、また施策につなげてもそれを広報しなかったりすると、実施に対する理解がなくなっていきます。従業員満足度を向上させるために実施した調査が不満につながってしまったのでは元も子もありません。

従業員満足度調査を実施したのなら、何らかの形でフィードバックが必要になってきます。その際、その層にどこまで開示するかという問題が出てきます。

 

5-2. 全従業員に対するフィードバック

全従業員に対してのフィードバックは、主に「調査協力への感謝」「結果の報告」「今後の施策の方向性」を伝えます。

「結果の報告」についてどこまでの結果を報告すればよいかですが、それほど細かく報告する必要はありません。一般的には全体傾向報告をわかりやすくアレンジしてA4(A3)1枚程度にまとめ社内広報などで報告します。

このフィードバックを提示することで、人事部門が本気で満足度を向上させようとしているのだというメッセージを送ることができ、従業員は満足度調査の意義を感じることができますし、フィードバックは必ず行うことをおすすめします。

 

5-3. 上層部への報告

役員・人事部長などへは、今後の意思決定に必要な報告書・レポートを全て提供します。必要に応じて報告会が必要になる場合もあります。役員クラスの関心事は細かいことよりも「全体の結論」と「ではどうすればよいか」を把握することです。隅から隅まで順番に報告すると嫌がられる場合もあります。まず要点を報告し、必要に応じて詳細に言及するという方法が好まれることが多いです。

また、上層部へ報告する際は、従業員満足度調査がただのあら捜しに終わらないように報告の仕方に気をつけます。悪いところだけでなく良いところもまとめておき、「こんなに良いところがあった。この良いところを伸ばしさらに組織を活性化させていくためにも、これだけの問題点を解決する必要があります。」というようなストーリーを用意すると、前向きな報告になります。ひとつの方法ですがそのような配慮が必要になる場合もあります。

 

5-4. 部門長(マネジャー等)へのフィードバック

従業員満足度調査の結果が出て、人事部門が施策を展開していくことはとても大切なことです。しかし、従業員満足度は職場・上司・仕事といった現場の状況に影響を受けるものです。したがって人事部門だけががんばるだけでは満足度の十分な向上を望むことは難しいでしょう。

そこで、各部門長(マネジャー等)が満足度向上に向けて手を打っていく必要があります。部門長へのフィードバックはそのために行われます。

したがって、部門長には全体傾向に加えて自組織のクロス集計結果をフィードバックする必要があります。また、フィードバックするだけではなく、その結果に基づいて従業員満足度の向上施策を考えてもらうことが重要です。

フィードバックの方法は、大きくわけて2つあります。ひとつは、部門長に直接送付する方法、もうひとつは部門長を集めてフィードバックする方法です。後者の方法は説明会仕立てや研修仕立てにする場合もあります。いかに部門長の協力を得ることができるかが満足度向上の大きな鍵になってきますので、部門長にフィードバックする際には気をつけてください。