マネジメントの最も大きな仕事のひとつである「仕事の管理」ですが、ファイヨールはこれを五つに分類しました。マネジメントの基礎を理解する際、このマネジメントの5機能がベースになることが多いですのでご紹介いたします。
計画 | 予測と計画目標を定め、現状を把握し、そのギャップを埋めるための段取りを決める。 |
組織化(割当) | 計画実現のために、ヒト・モノ・カネ等の経営資源を編成する。組織の成員に仕事を割り当てるため、仕事の割当とも言う。 |
指令 | 組織の成員に行動を起こさせる。 |
統制 | 行動が当初の計画通りに進んでいるかどうかをチェックする。必要に応じて修正する。簡単に言うと進捗管理。 |
調整 | それぞれの仕事がかみ合うように働きかける。 |
具体的なイメージをつかんでもらうために、最も簡単な例で説明してみましょう。4人で「りんごの箱詰め」をするところを考えてみます。
最終目標 | りんごをお客様のところへ無事お届けし対価をいただく。お客様が笑顔でりんごを手にとってもらえるようにしてファンになってもらう。 |
計画 | まず、どういう状態だとお客様に喜んでもらえるか考える。 笑顔のためにはおいしそうなつやつやのリンゴが届いているイメージが提案される。そこでリンゴを磨くことにした。運搬中にリンゴが傷つくといけないので、梱包材として紙を丸めて入れることにした。リンゴの由来が分かったほうが有難がられるだろうから、薀蓄を記した手紙をつけることにした。期限は2営業日。 |
組織化(割当) | 計画組織化分業して効率を図るために、役割を決めることにした。 ・リンゴを磨く役割 ・梱包材を作る役割 ・手紙を作る役割 ・箱につめる役割 ・宛名を書く役割A君はPCスキルが高いので、手紙と宛名作成。 B君はリンゴを磨く。 C君は梱包材と箱詰め。 M(マネジャー)はマネジメント、かつそれぞれの仕事を手伝っていくプレイングマネジャー。 皆で宛名を貼る。
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指令 | マネジャーは必要な権限を与え仕事を命じる。各々は最終的な完成イメージを共有し、自分の仕事を確認した上で仕事に取り掛かる。 |
統制 | 当初想定した通りにことが進んでいるかをチェックする。リンゴが納得のいくまで磨かれているか、手紙の文面は魅力的なものか、梱包材は適切か、箱につめて完成したものは本当にお客様の笑顔がイメージできるか。 また、期限通りに仕事が進んでいるかをチェック。各成員の負担なども公平になるように考慮する。 |
調整 | 磨いたリンゴをどこに置けば梱包しやすいか。梱包したものをどこに保管しておくか。箱と手紙のイメージは一貫しているか。リンゴ磨きが終わったら何をするか。自分の仕事が終わったら帰ってもいいのか。お互いの主張や意見をどのように出させるか。これら矛盾しがちな主張や仕事のプロセスをどう折り合いをつけていくか。 |
統制と調整のイメージがしにくい方は次のように捉えてもいいでしょう。
統制=進捗管理=進捗を管理して仕事を一定基準以上のものに仕上げること
調整=調和を図る=細かい部分で折り合いをつけ全体として調和を作ること
なお、PDCAサイクルはほぼこれと同じことを言っていますが、調整の概念がここには含まれていないことを留意してください。