原理に基づいたマネジメント

どんな分野にも原理原則があるように、マネジメントにも、こうすればこうなる、こういう時にはこうしたらいい、といった一定の法則なり定石なりがあります。

近代の組織が現れてから随分経ちますが、その過程で様々な試行錯誤が行われ、知恵が集積されてきました。この先人の知恵を活用しないわけにはいきません。この蓄積には歴代のマネジャーの成功の元がつまっており、自分の経験あるいは上司の受け売りのみでオリジナルのマネジメントを行うことは効率的でも健全ではありません。

もちろん、原理原則を重視するといっても、業界、職場、時代、本人の性格、企業文化、商慣習などによってカスタマイズする必要がでしょう。しかし、原理原則を大きく外れるときは、必ずリスクが伴います。先人の知恵をよく理解した上で、自分がどれくらいズレているのかを自覚しつつ、副作用を理解しながら処方するのであれば問題ありません。問題は自分がズレていることに気付かず、それが当たり前と考えることから起こります。特に、自分の上司がそうだったから自分もそうするんだという場合は要注意です。

右肩上がりの経済においては、パイの拡大とともにある程度までは成長が約束されていました。売上の拡大は組織のあらゆる問題を隠してくれます。しかし、我が国成立以来始めての継続的人口減少をむかえる今日では環境が激変し、次第にこれまでのやり方は通用しなくなってきています。売上によって隠されていた諸問題が噴出くるのです。

このような状態で、旧来のやり方で押し通してしまうと組織として大きな問題が生じるでしょう。この組織としての負の遺産は実は、原理原則から外れた我流のマネジメントに端を発するのです。

我流のマネジメントを志すより「守・破・離」の「守」をきっちり学ぶことが先決です。