ESサーベイ、eNLPサーベイ、モチベーション、マネジメント、理念浸透、離職

組織の歴史とマネジメント

組織というとどうしても大きな組織をイメージしてしまいますが、どんなに大きな組織でも、始まりは個人(あるいは数人)だったはずです。この組織発達の過程を再現することは組織やマネジメントを理解するのに役立ちます。順を追ってみていきましょう。これはありがちな一例にすぎませんのでご留意を。

  1. 個人が事業を志す。お金が欲しい、社会を変えたい、こんな喜びを提供したい。動機は様々で、この時点では理念は言語化されてないことも多い。現実に適応するのにてんてこ舞いです。
  2. 最初は少人数の顧客を相手に事業を展開する。その時点での資源を活用して顧客に貢献する。同様のニーズを持つ顧客に類似サービスを展開する。様々な顧客の悩みに答えながらも「あ、これは自分には無理だな」という事業領域にまつわる意思決定が行われる。また、このために自分は存在しているという自負、つまり理念らしきものが現れる。
  3. 顧客が増加し自分だけでは手が追えなくなる。5人を雇う。5人に仕事のやり方を教える。8割は伝えることができた。自分(経営者)は、いつも目の届くところにいて指示、命令、統制を行う。品質は保てている。小さなチームで意思疎通は十分にできており死角はない。
  4. 事業は拡大しさらに15人雇う。部下は合計20人となりもはや全員に目が届かなくなる。社長に自分の仕事をちゃんと見てもらっていないというクレームも上がる。したがって、最初の5人にそれぞれ3人を見てもらうことにする。つまり、4人のチームが5つできる。マネジャーが誕生する。
  5. マネジャーは経営者の思いや方法を完璧にではないが8割方再現できるのでチームの成員達に伝授していく。中には部下との人間関係にトラブルを抱えるものも出てくる。また社長の目もまだ行き届くので大きなチームとしてもワークする。
  6. しかし、最初の品質を完璧に再現できるわけではない。成員達には社長の8割の8割、約64%が伝達されるにすぎない。経営者は成員達のサービス品質を随時チェックし、マネジメントがうまく機能しているかに目を光らせる。マネジメント品質のマネジメントをする。あるいはそのような意識がない場合も多い。全員に細かな具体的な指示が出せないので、大切にすべきことを示す。つまり理念を言語化し、共有させ方向性の一致を図る。
  7. サービスの質は安定してきた。しかしルーティンワークや不公平感で成員のモチベーションの低下が発生する。部下新しい欲求が生じてくる。正当な評価と処遇が欲しい。もっと仕事の幅を広げ、深めたい。もっと休みが欲しい。給料を上げて欲しい。他の部署に異動したい。などなど。
  8. 部下の欲求に全て応えられるわけでははないため、ある成員のモチベーションは下がっていく。ここに矛盾が生じる。マネジャーは上からの組織目的達成の要請と、部下の欲求の板挟みになる。多くの場合は部下に我慢してもらうがモチベーションが限界に来ている。離職も発生した。
  9. マネジャーは組織の要請と部下の欲求の統合(止揚、アウフヘーベン)を求められる。部下のエネルギーを引き出しつつ、組織目標を達成する矛盾に頭を悩ませなければならなくなる。
  10. 人が増えるにしたがって、またビジネスの展開が広範囲に広がるにつれ、階層は増え、組織は発展していく。
  11. 階層が増えれば増えるほど、経営者から目が離れて、サービスの質は担保しにくくなるので、ミニ経営者とも言えるマネジャーの役割が重大になる。

矛盾の発生点に注目してください。ここで組織要請と部下の欲求を統合できないと組織の成長は停滞します。これが、マネジメントの役割が「組織の要請と部下の欲求の統合」と言われる所以なのです。